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遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書

 

作成する前に対象不動産を確認しましょう

亡くなった家族が遺言を残していなかった場合は、相続人全員で遺産分割協議をしますが、合意ができたら、遺産分割協議書という書面を作成し、相続人全員が実印で捺印します。
遺産分割協議書がどのような書き方なのかは、HPや書店にならぶ書籍をご覧いただいて、パソコンで作成すれば出来上がりますが、ここでは、司法書士の立場から、不動産の登記ができない書き方にならないようなアドバイスをしたいと思います。

不動産は、相続財産のうちでももっとも高額なもののひとつでしょう。
ですから、せっかく相続人で合意ができ、遺産分割協議書を作ったのに、登記ができなくて作成し直さないといけない、となってしまうと面倒です。
そこで、どう書いたらいいのか、説明したいと思います。

作成するときに、まず以下の書類を捜して確認しましょう。
①亡くなった方宛に毎年市区町村から郵送されてきていた「固定資産税の納税通知書」
市区町村にもよりますが、だいたい毎年6月頃に郵送されてきて、所有している不動産について固定資産税を払ってくださいと、納付書などが同封されている封書です。
不動産を自宅以外にもお持ちの場合は、その不動産がある市区町村からそれぞれ郵送されてきますので、何通かあります。

②上記①の納税通知書が見つかったら、それには、所有する不動産の明細が載っているので確認します。土地なら、所在、地番、面積、評価額が、建物なら、所在、家屋番号、床面積、評価額が記載されています。評価額というのは、市区町村が、その不動産の価値を独自に決めた金額です。通常は、市場価格よりかなり安い金額です。

③権利証がないか確認します。
貸金庫に預けて有る場合もありますが、ご自宅のタンスなどに保管されていないか、確認します。
相続による名義変更の登記には、原則権利証は必要ないですが、①の納税通知書には、税金がかかる不動産しか載ってこないため、非課税の土地(多くは、「私道」と言われる、自宅前の道を一人または近所の人と共同で所有している場合があります)は、見落としてしまうからです。権利証の不動産の表示に、納税通知書に記載された以外の不動産がないか、確認しましょう。

④納税通知書や権利証に記載してある土地の所在と地番、建物の所在と家屋番号の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、所有者欄に、亡くなった家族の名前が登録されていることを確認しましょう。
現在は、全国どこの法務局でもどこの不動産の登記事項証明書でも取得できます。また、インターネットでも取得できます。

⑤登記事項証明書と併せて、土地の「公図」を併せて取得しましょう。                       所有していた土地が、大きな道路に接していない場合は、大きな道路に出るまでの道のような土地を所有している場合があります。その土地の登記事項証明書も取得して、亡くなった方が所有していなかったか確認しましょう。

※「私道」は、所有していることを把握できず、漏らしてしまうことが多いです。
よくわからない方は、取得した登記事項証明書と公図を持って、近所の司法書士さんに相談してみてください。

⑥亡くなった方所有の土地の登記事項証明書を取得したら、それを遺産分割協議書に書き写します。

不動産はどう記載したらよいか

相続人のみなさんで遺産分割協議書を作成する場合、対象財産はどのように記載したらよいのでしょうか。
相続財産のうち不動産は、最も高額な財産のひとつでしょう。その記載が間違っていて、登記ができないということがあっては困ります。せっかく作成した遺産分割協議書で、ちゃんと名義変更登記ができるよう、対象不動産を明示しなければいけません。

なお、司法書士と行政書士という資格があります。遺産分割協議書の作成は、司法書士でも行政書士でもできますが、登記は行政書士はできません。たとえば、遺産分割協議書を作成してくれた行政書士さんが、申請書まで作成してくれ、「あとは、ここに押印して、自分たちで申請してください」と申請書類を渡してくれた・・・、これも司法書士法違反になりますので、このような行政書士さんに依頼することは避けましょう。信頼ができない行政書士さんです。「作成したから、あとは司法書士さんに登記してもらいます。」という行政書士さんが正解です。

さて、自分で遺産分割協議書を作成する場合に、不動産をどう記載するかという問題ですが、、登記事項証明書を取得したら、土地なら、「所在」と「地番」、建物なら、「所在」と「家屋番号」を、記載しましょう。ほかに面積などは、書かなくても大丈夫です。なぜなら、「所在」と「地番」、「所在」と「家屋番号」は、人間でいうと、住所と名前で個人の特定ができるように、土地と建物の特定ができる情報だからです。

(土地)
所  在  〇〇市〇〇町
地  番  〇番

(建物)
所  在  〇〇市〇〇町〇番地
家屋番号 〇番

といったぐあいです。登記事項証明書に記載がある、「種類」「床面積」などを記載してもいいですが、書かなくても足ります。

なお、いったん成立した遺産分割協議の全部又は一部を相続人間で合意解除して、再遺産分割協議することも、判例上認められています(最一小判2年9月27日民集44巻6号995頁)ので、登記も可能と考えられています。

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